出発
「じゃ、用事があるから...。」と足早に消えてしまった父。
賑やかな那覇空港のターミナル。
父の姿はすぐに人混みに飲まれて見えなくなった。
「私が搭乗したら、お母さんは一人ぼっちになるのに、、、。
お母さんの気持ちも考えないで...。」
父の行動が理解できなかったけれど、
今思えば、父にはあれが精一杯だったんだと思う。
父は意外と涙もろい。
アメリカへ向けて出発の日。
目がまっ赤な母と、泣くのをこらえている親友に
何かちゃんと言わなくては、、、とやっとの思いで押し出した言葉が
「じゃあね」「行ってきます」「元気でね」のどれでもなく
「ありがとう」

重力に逆らってどんどん上昇する飛行機の中から島を見つめていた。
何度も見た景色だけれど、この時ばかりは違って見えた。
この平べったい小さな島が宝箱のように見えた。
もう、ここでは暮らさないんだと分かっているから、
窓にしがみついてしっかり見ておこうと思った。
できることなら、この飛行機のしっぽに島をロープでくくりつけて
アメリカまで持っていきたい気持ちだった。
それができそうなほど小さな島。
大好きな沖縄。
ありがとう、お父さん、お母さん。
ありがとう、みんな。
それでは、行ってきます。
きっと、なんくるないっさ。
1997年3月
(夫が待つシアトルへ二人の子供を連れて移住した時の過去日記)
賑やかな那覇空港のターミナル。
父の姿はすぐに人混みに飲まれて見えなくなった。
「私が搭乗したら、お母さんは一人ぼっちになるのに、、、。
お母さんの気持ちも考えないで...。」
父の行動が理解できなかったけれど、
今思えば、父にはあれが精一杯だったんだと思う。
父は意外と涙もろい。
アメリカへ向けて出発の日。
目がまっ赤な母と、泣くのをこらえている親友に
何かちゃんと言わなくては、、、とやっとの思いで押し出した言葉が
「じゃあね」「行ってきます」「元気でね」のどれでもなく
「ありがとう」

重力に逆らってどんどん上昇する飛行機の中から島を見つめていた。
何度も見た景色だけれど、この時ばかりは違って見えた。
この平べったい小さな島が宝箱のように見えた。
もう、ここでは暮らさないんだと分かっているから、
窓にしがみついてしっかり見ておこうと思った。
できることなら、この飛行機のしっぽに島をロープでくくりつけて
アメリカまで持っていきたい気持ちだった。
それができそうなほど小さな島。
大好きな沖縄。
ありがとう、お父さん、お母さん。
ありがとう、みんな。
それでは、行ってきます。
きっと、なんくるないっさ。
1997年3月
(夫が待つシアトルへ二人の子供を連れて移住した時の過去日記)
2004年03月03日 03:03